これも、私が中学生時代の話である。
高校生だった兄は、
通信教育で脚本の勉強をしていた。
将来、脚本家 兼 映画監督を夢見ているのだ..
通信教育の講師からは
一定の評価を受けている。
調子に乗っている兄は、今度、弟(私)を
主人公にした作品を手掛けるというのだ
兄 「将来、映画監督になったら、
お前使うから・・主役で。」
ここで私の将来は約束されたも同然...
第2の石原慎太郎(兄) 石原裕次郎(弟)である。
数ヵ月後、兄の作品がようやくできた
通信教育の講師に送付・・
数週間後、
点数の付けられた原稿が送られてきた。
開封
兄 愕然...
ひどい酷評だったらしい
わたしは、その作品を見せてもらった
題名 『しまりのない少年』
いつも、おっぺけぺーな事をしている少年の
日常を追ったドキュメンタリー作品..
その日何を食っただの、どこで鼻をかんだだの.....
ご飯、何杯おかわりしただの.....
なんじゃこりゃ...
何の見せ場も おち もない、
のっぺらーした作品だ...
酷評されて当然...
それ以来、兄は自分の夢を語る事は無くなった。
同時に私の華やかな舞台も消え去ってしまったのだ・・・